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“おれは”

407字 · 約1分
俺は全てを失った。
帰る場所も、頼れる大人もいない。母親が持って逝ってしまった。
この際、今まで不味いと思っていた冷えた飯でもいい、汚い泥水でもいい、養ってくれるなら暴力を振るってくる親でもいい、とにかく俺は生きたい。何がなんでも生きてやるんだ。
飢えた獣の如く目をぎらつかせ、辺りを見回す。と、人影が目に映った。
迷子らしき、俺よりも幼い少女。
俺は迷いなく、ゴミ箱の横に転がっていたガラスの破片を手に取った。

「ごめんなぁ」
少女の首を掴んでいる手とその腕に、息がかからなくなった。
俺は躊躇いなく彼女の腕に口を近づけ、肉を貪った。
俺の身体だけが動き、何も考えないうちに少女の身体は同じ歳の頃の自分自身程に細くなっていた。
食ったことのない味で、旨くて、少し堅くて、苦かった。
おれは仰向けに寝転び、空を見ないまま目を閉じた。






もう少し、甘さが欲しかった。
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