#4 「 」
第4話 / 全4話 · 740字 · 約2分
神室町は、いつも通りだった。
ネオンは眩しく、
人の声はうるさく、
夜は変わらず、ここにある。
それなのに。
俺は、足を止めた。
理由は分からない。
危険な匂いがしたわけでもない。
敵意も、殺気も――何もない。
ただ、
何かが足りない。
街を見回す。
人々は歩き、笑い、怒り、すれ違っていく。
いつもと同じ光景だ。
だが、その“上”に、
妙な空白がある。
視線を向けても、
何も見えない。
それでも、
そこに「あるべきもの」が
ごっそり抜け落ちている感覚だけが残る。
「.... ??」
胸の奥がざわついた。
昔、何度も感じた違和感。
誰かが死んだ直後の街。
何も変わらないのに、
確実に“何か”が増えている、あの感じ。
だが今は逆だ。
減っている。
神室町が、
一つ、目を失ったような――
「... 、兄さん ??」
名を呼んだが、返事はない。
風が吹く。
ネオンが瞬く。
街は何事もなかったように呼吸を続ける。
その瞬間、
ふと、背中が軽くなった。
長年背負っていた重さが、
理由もなく消えた気がした。
それが、
一番おかしい。
俺はもう一度だけ空を見上げる。
何もない。
――何も、見えない。
それでも、
この街は今も、
誰かに見られている。
なぜか、
そう思った。
end__
最終話でございます。
ここまで読んでいただきありがとうございます!