目次に戻る 本田ゴンザレス松風

運命の人

 「今日も可愛いなぁ。」
本田には想い人があった。
何年来の関係だったか、もうわからないほど。
「いつになったら付き合ってくれんだろなぁ。」
この男、何度も告白しているのである。
発言からわかるよう、毎回フラれる。
下手な鉄砲は数を打っても当たらないのだ。
 思えば一目惚れだった。
岡山の幼稚園で会ったあの日既に人生は変わっていた。
 そうして彼女に想いを寄せても時間はすぎる。
本田は知らない間に飛び級で小学校を卒業し、三歳児にして中学校へ入学するという偉業を果たした。
 血迷って吹奏楽を始めた本田は人間関係に困っていた。
同じ楽器の先輩が眩しすぎる。
マジで冗談抜きに。
あの人は怖かった。
常にヘラヘラしてるのに死ぬほど頭が切れた。
思い出すだけで怖い。
案外悪い人じゃないのが余計怖い。
 それでも部活を頑張れたのには理由があった。
彼女の存在があった。
彼女のお陰でキツすぎる夏のコンクールも頑張れた。
結果は銀賞だったけどそれでも彼女に支えられながら頑張ったことに価値があった。
本当に感謝してもしきれない。
 彼女の誕生日はコンクール本番の八日後だった。
8月10日、本田はデートに誘った。
これまでは家族と過ごすからという理由で無理だった誕生日のデートを承諾してくれた。
嬉しかった。
一日中一緒にいた。楽しかった。
ディナーのあと告白した。
 本当にびっくりした。
承諾された。
主役よりも自分が幸せでいいのかと感じた。
理由は聞かなかった。なんか怖かった。
でもとにかく嬉しかった。
 本田はリア充になった。
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野獣の日