目次に戻る 本田ゴンザレス松風

大人より怖い人

 初対面のとき、本能的に直感した。
この人ヤバい人だ…と。
未だに忘れていないあの衝撃。
とはいえ、楽器は好きだった。
だから似た楽器に行こうとしたら募集してなかった。
 本田はその先輩の下で楽器を吹くことになった。
彼女がいなければ多分すぐ退部してた。
でも本格的な悪夢はあの日から始まった。
 鮮明に覚えている。
2024年12月某日、新人大会の練習で体育館を使っていた日のことだ。
クリスマスの話題があった。
合奏終了後には一週間後に控えている新人大会の事も忘れ、一年生も二年生もその話題で持ち切りだった。
そしてそれは先輩も例外ではなかった。
「本田はクリスマスなんかあんの?」
そろそろ聞かれるだろうと覚悟はしていたもののいざとなると緊張した。が、
 本田は何を思ったか自慢したくなった。
今年は人生で初めてクリスマス予定があるのだと打ち明けたのだ…
まあこの先輩のことだし「へぇ〜」くらいで終わると思っていた本田が愚かだった。
 案の定質問責めだった。
「家族?」「まさか」
「友達?」「尚更です」
「…彼女なんか?」「…いやいや…」
「何?今の間」「なんでもないですよ本当に」
「目を見て言いなさい」「…なんでもないっすよ…」
「はいクロ」「あっ」
 アホの爆誕である。
先輩はヘラヘラしてるコミュ力おばけだった。
重い楽器を持ちながら満面の笑みで今にも喋りだしそうな大きな口を開けて皆のところへ走り出す先輩。
必死で否定を続ける本田。
勝者は言うまでもなかった。
うるさいよりも静かにしてる方が評価が高いと知っていたので、部活ではおとなしかった本田は一気にリア充の本田へと評価が一変した。
 こうして何日経っても続く質問責めの日々が始まった。
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