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うまいちゃん
2
取材を進めるうちに、私は奇妙な違和感を覚え始めた。
この一族は、死を恐れているのではない。
“三十”という到達点そのものを拒絶している。
誕生日が近づくと、家族は門を封じ、夜を明かす。
だが誰も三十の朝を迎えたことはない。
悠真は言った。
「“あれ”は、三十という区切りに反応するんです。年齢ではない。通過儀礼のようなものに」
「“あれ”とは?」
「外にいるものです」
その夜、私は確かに聞いた。
門の向こうから、低い囁き。
――三十が来る。
背筋が凍った。
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