別れの悲しみ
第2話 / 全2話 · 493字 · 約1分
貴方が消えたあの日から、
波の音が汚く聞こえた。
貴方と見ていた何よりも綺麗に見えたあの海も
汚い海に見えた。
同じ場所、同じ時間、同じ服なのに、
何かが足りなくて、どこか寂しくて、
とても哀しかった。
どうして消えてしまったのかもわからなくて、
考える度に、胸が押しつぶされるような、
まるで心臓を握られるような痛みが走った。
時間が経てば月が出て太陽が昇る。
そうやって月日は流れる。
これは何をしても、どう足掻いても、
止めることのできないこと。
貴方が最後に言った言葉は今でも頭に残っている
「波の音が綺麗だね」
そういった。
あの時、あの時の私は未熟でわからなかった言葉。
今なら、空気を吸うように意味がわかる。
月がのぼってしまった。
長居しすぎた。
私が帰ろうとする時。
何かの鳴き声が聞こえた。
私は振り返った。
すると、鯨が水飛沫をあげて飛んでいる。
飛んでいる鯨と月が重なり、
あの日、貴方と見た、海の綺麗さが生き返るように。
私はおもわず口を開いた。
「…綺麗」
私は、ふっと笑って家に帰った…