ひろゆき無双のデスゲーム
5,109字 · 約11分
ひろゆき 黄色いパーカーをパタパタさせながら、床に座り込んでいる。
「なんか、明らかにヤバそうな人たち集まってますね。これ僕が頑張る必要あります?」
たくろう(赤木・長谷川)
赤木は挙動不審に髪をいじり、長谷川は「なんで僕らなんですか!?」と半泣きでツッコミを入れている。
ドラえもん 「ボク、ロボットだから死なないよね…? え、壊されるの!?」と青ざめて四次元ポケットを漁っている。
田中角栄 「よし、話を聞こうじゃないか」と、一人だけ妙に落ち着いた様子でパイプ椅子に深く腰掛け、扇子をパタパタさせている。
モニターに最初のルールが表示された。
【ルール】目の前には「100億円」の架空予算があります。制限時間内に、5人でこの予算の「最も有意義な使い道」を議論してください。議論終了後、主催者が「最も無駄で、論理的に破綻した提案をした」と判断した者を1名処刑します。
田中角栄:「ガハハ! 100億か、安いもんだ。よし、これを使って『日本列島をすべて高速道路で繋ぐトンネル工事』を始める。土木を起こせば雇用が生まれ、地方が潤う。これ以上の有意義な使い道はあるまい!」
たくろう・長谷川:「いや規模デカすぎますて! 100億じゃトンネル数メートル掘ったら終わりますよ! 赤木、お前からもなんか言うたれ!」
たくろう・赤木:「ぼ、僕の…実家の裏山に、でっかい、あの…シーソー作りたいです……みんなが、仲良くなれるから……」
ドラえもん:「(ポケットから何か出しながら)ボクは、このお金で世界中の子どもたちにどら焼きを……あ、間違えた!『地球破壊爆弾』出しちゃった!!(慌ててしまう)」
ひろゆき:「え、なんか皆さんバラバラなこと言ってますけど、全員で同じ目的に同じお金を使えば誰も脱落しないで済むんじゃないですか?」
田中角栄:「ほう……全員で乗るか。一理あるな。だがひろゆき君、その『同じ目的』とは何だ? 私の列島改造論に全員が乗るというのなら、話は早いぞ?」
たくろう・長谷川:「ちょっと待ってください! 確かに全員で1つの案に絞れば、主催者も『最も無駄な提案をした1人』を選べなくなりますよね!? 赤木のシーソーは論外として、現実的なライン探りましょうよ!」
たくろう・赤木:「シーソー……あかんかぁ……。でも、ひろゆきさんの言う通りにしたら、誰も死ななくて済むかも……」
ドラえもん:「(爆弾をポケットに押し込みながら)うん! ボクも賛成! みんなで協力して、この部屋から脱出するための道具を開発する資金にするとか、そういう使い道なら文句ないよね!?」
その時、壁のスピーカーからノイズ混じりの声が響いた。
『……ふむ。全員で1つの案を共有し、リスクを分散させるか。確かに賢い選択だ。だが、このゲームの主催者として、そんな生ぬるい結託は許さない。』モニターの文字が赤く書き換わる。
【追加ルール発動】全員の意見を1つに統合することを認めます。ただし、その「統合された1つの案」が、主催者によって「無駄である」と一蹴された場合、全員が連帯責任で即座に処刑となります。
たくろう・長谷川:「ええええーーー!? 連帯責任!? ひろゆきさん、これ僕らが下手に乗っかったら、全員まとめて心中することになりますよ!?」
田中角栄:「ガハハ、面白くなってきた。要は、主催者すらもぐうの音も出ないほど『完璧に有意義な100億円の使い道』を、お前が今からプレゼンすればいいわけだな、ひろゆき君?」
ひろゆき:「あの、そもそもなんですけど、100億円ってここに現金があるわけじゃなくて、僕らの脳内の妄想の話ですよね? だったら、これ使えば誰も文句のつけようがないと思うんですよ」
「100億円を使って、『このデスゲームの主催者を徹底的に刑事告訴して、世界で一番有能な弁護士団を雇う費用』に全額充てます。だってそうですよね? 僕らを拉致して命を賭けさせてる時点で、主催者は監禁致死傷罪とかテロ組織の類なわけです。そんな犯罪者が提示したゲームのルールに、僕らが真面目に付き合う必要ってどこにもないんですよ。それに、主催者が『その使い道は無駄だ』って却下したら、それは『自分たちが裁判で負けるのが怖い』って認めた感想になっちゃうじゃないですか。客観的なデータとして、犯罪者を捕まえるために資金を使うのは100%有意義です。……ね? これなら主催者も文句言えないですよね?」
田中角栄:「……ハハハ! 面白い! 法の網を敷いて相手の退路を断つか! 政治の基本だな。よし、私がかつて築いた法曹界のコネもすべて提供しよう。100億あれば、最高裁まで一気にトドメを刺せるな!」
たくろう・長谷川:「す、すげえ……! デスゲームで主催者を訴えるなんて発想、普通出ます!? 赤木、これならいけるぞ!」
たくろう・赤木:「ひろゆきさん……頭良すぎて、ちょっと……引くわ……(でも嬉しそう)」ドラえもん:「そうだね! 犯罪は絶対に許しちゃいけないんだ! ボクの『タイムカメラ』で、主催者がどこからボクたちを見ているか証拠映像も撮れるよ!」
『……チッ。クソ理屈を……。だが、社会的な正当性と論理の破綻のなさにおいて、それを「無駄」と断じることは……ルール上、不可能。チキショウめ……!』
『第一ステージ、クリアだ。全員通過を認める……。だが、次のステージでもその減らず口が叩けると思うなよ……!』
正面の巨大スクリーンに、第二ステージのルールが表示される。
【ルール:総理大臣ゲーム】このステージでは、メンバーの中から1名の「総理大臣(リーダー)」を選出します。主催者から次々と突きつけられる「理不尽な国家危機(テロ、大災害、経済崩壊など)」に対し、リーダーが政策を打ち出して解決してください。支持率(主催者の判定)が0%になった瞬間に、全員まとめて処刑となります。
田中角栄:「よし、私に任せてもらおう。危機への対処こそ、政治の本領発揮だ。ひろゆき君が後ろで見ていてくれるなら、私もやりやすい。いくぞ、諸君!」
たくろう・長谷川:「おおお、頼もしすぎる! 本物の総理大臣や! ひろゆきさん、本当に何もせんでいいんですか!? 完全に角栄先生の後ろでサボってますやん!」
たくろう・赤木:「なんか、角栄さんから……すごい大人の、ええ匂いがする……ついていきます……」
ドラえもん:「ボクも、角栄さんの指示なら何でも従うよ! 道具もいっぱい出すからね!」
田中角栄:「ふむ、資産凍結と酸素不足か。ドラえもん君! 君のポケットに『どこでもドア』と『適応灯(どんな環境でも生きられる道具)』はあるか!?」
ドラえもん:「あ、あるよ! すぐ出す!」田中角栄:「よし! その道具を我が国の“公共財”に指定する! これにより、凍結された資産に頼らずとも、全国民(この部屋のメンバー)の生存圏と物流は100%確保される! 主催者よ、これが我が内閣の『超時空・列島改造論』だ!」
支持率が10%から85%に跳ね上がった。
ひろゆき:「いやー、さすが田中さん、マジ優秀でビビるんですけど。ただ、ちょっと気になることがあるんですよね」
「今回はドラえもんの道具で切り抜けられましたけど、これ依存し続けるのって、データ的にかなりリスク高いと思うんですよ。だって主催者側からすれば、ドラえもんが道具出したらゲームが成立しないって、もう分かっちゃったわけじゃないですか。次あたり、確実に『ドラえもんの四次元ポケットを使用禁止にする』か、あるいは『ドラえもん自体を物理的にハッキングして敵に回す』みたいな嫌がらせをしてくる可能性、めちゃくちゃ高いですよね。だから、ドラえもんの道具が『使えなくなった瞬間に全員詰む』ような作戦を立て続けるのって、頭悪いと思うんですけど……どうですかね?」
ドラえもん:「ええっ!? ボクが使えなくなったり、敵に回されたりするの!? うう、確かに主催者ならポケットを無理やり奪い取ることくらいしそう……怖いよぉ……!」
たくろう・長谷川:「うわ、確かに……! 今はチート道具で無双してますけど、それ封じられたら僕らただの漫才師と、おじいちゃんと、パーカーの人ですよ!? 一瞬で全滅しますやん!」
たくろう・赤木:「僕……ドラえもんが敵になったら……勝てる気、せえへん……(ガタガタ震える)」
田中角栄:「……なるほど。一歩先を読んだか、ひろゆき君。一人の天才や、一つの強力なインフラに依存しすぎる国家は、それが崩れた時に脆い。まさにその通りだな」
『……チッ! どこまでも小ざかしい男だ、ひろゆき……! 先に言われてしまったが、その通りにしてやる! 第二の危機だ! 【これより、ドラえもんの四次元ポケットの機能を完全にジャミング(妨害)する。さらに、議場に“武装した暗殺ロボット”を5体投入する。さあ、道具なしでどう生き残る?】』
ドラえもん:「ああっ! 本当にポケットが開かなくなっちゃった!! ひろゆきさんの言った通りだ!」
たくろう・長谷川:「ロボット来てるって!! 角栄先生! ひろゆきさん! 道具なしでどうするんですかこれ!?」
田中角栄:「ガハハ! 警告のおかげで心の準備はできていた。道具が使えんのなら、『人間の力』で動かすまでよ!」
「おい! そこにいる鉄屑(ロボット)ども、よく聞け! お前たちを遠隔操作している主催者、あるいはそのシステムを構築した技師に告ぐ! 私は元内閣総理大臣の田中角栄だ!」
ロボットたちの動きが一瞬、ピタリと止まる。
「お前たちが我が命を狙うというなら止めはせん。だが、よく考えろ! 私をここで殺して得られる目先の快楽と、私を生かして『新潟に超巨大ロボット専用特区と、年間3000億円の国家予算枠』を約束するのと、どちらが組織の利益になる!?主催者よ! お前が今抱えているそのシステム開発費の赤字、私が日本の裏予算から一瞬で補填してやろうじゃないか! 命のやり取りなどという不毛なことはやめ、ビジネスの話をしよう!」たくろう・長谷川:「デスゲームの主催者に賄賂(わいろ)の提案しだした!! 規模がエグすぎる!!」
たくろう・赤木:「さすが……闇の将軍や……。ロボットが、なんか、迷ってる気がする……」
『な……っ、3000億……!? いや、だまされるな! 奴は今、一文無しのはずだ! 資産は凍結した!』田中角栄:「ガハハ! 凍結されたのは私の個人の口座だ! 日本の公共事業の利権と、私が持つ政界・財界のパイプは凍結できまい! 生きてここを出せば、お前たちを『国家公認の治安維持組織』としてマネタイズしてやるぞ!」
ドラえもん:「すごい……! 主催者がお金の誘惑に負けそうになってるよ!」
ひろゆき:「いや、3000億っていう具体的なデータ出されちゃったら、主催者さんもう降伏するしかないですよね? ぶっちゃけ、これ以上ゲーム続けるメリット1ミリもないと思うんですけど」
「だって、ここで僕らを殺しても主催者さんには1円も入らないわけじゃないですか。むしろ田中さんを殺したら、国家規模の捜査網が動いて、主催者さんは一生逃げ隠れするハメになりますよね。逆に、今ここで僕らを開放して3000億の利権に乗っかれば、主催者さんは合法的に大富豪になれるわけです。『命を奪う快楽』と『3000億円』を天秤にかけて、前者を選ぶのって、合理的に考えてただの頭の悪い人ですよね?……ねえ、まさかそんな頭の悪い選択、しないですよね?」
『う……うう……。3000億……。国認可の……特区……。……あ、あああああ! 分かったよ! 俺の負けだ! 契約成立だ!!!』
ドラえもん:「あ! ポケットのロックも解除された! ひろゆきさんの煽りが、主催者の心を完全に折ったんだね!」
たくろう・長谷川:「おいおいおい! デスゲームが『ビジネス成立』で終わったぞ!! どんな解決方法やねんこれ!」
たくろう・赤木:「角栄さん……僕らを……秘書として、雇ってください……」
田中角栄:「ガハハ! ひろゆき君、君のその『人を食ったような態度』と『冷徹な計算』、なかなかどうして、政治の世界でもいい武器になるぞ。どうだ、次の選挙、我が派閥から出馬せんか?」
ひろゆき:それってあなたの感想ですよね
完