第一話:僕のメイド。
第1話 / 全1話 · 566字 · 約2分
僕は神田透、中学二年生だ。僕たち家族は元々はごく普通の家庭だった。普通に暮らす分には不自由もしないし、両親はやりたいことをやらせてくれるとてもいい家族だったと思う。
それが変わり始めたのはほんの半年前のこと。父親が仕事を辞めて個人事業を始めた。最初こそうまくいかなかったものの、流行に乗り大きな利益を得て世間で言う金持ちになった。いわゆる成金というやつだ。大きい家に引っ越し、両親はまずお手伝いさんを雇った。メイドや執事のようなものだ。そして僕専属のお手伝いさんもつけてくれた。ただ、うちの親は何を思ったのかメイドのほうを僕につけた。年頃の男子の気持ちがわからんのだろうか。
僕は恥ずかしながら女子と話すのがとても緊張する。美人ともなるとなおさらだ。そんな僕にメイドをつける?冗談じゃない。まともに頼み事もできないぞ。どう接したらよいだろうか。そう考えているうちに初めてメイドさんと会う日が来てしまった。ガチャっとドアを開く。そこには黒髪の美しい女性が立っていた。とても若い。二十歳ぐらいだろうか。僕はその美しさに息をのむしかなかった。
「藤田凛と申します」
彼女は軽く頭を下げて挨拶をした。少し遅れて僕も挨拶をする。
妙に胸が高鳴る。それがなぜか僕にはわからなかった。僕はこれからこの人とやっていけるのだろうか。