脱出
翌日、俺は飼育員の監視を躱して山へ行き、クマの五郎と会った。
「やあ五郎。今日は君に用があってきたんだ。」
「なんの用だね、俺はシャケを狩るのに忙しいんだ。」
「君はよく人里に降りては農作物を食い荒して帰ってくるじゃないか。しかも人にバレずにだ。で、どうやったらバレないか教えてくれないか?」
「なんだそんなことか」
五郎はすんなりと極意を教えてくれ
た。俺はその日のうちに農作物荒らしをマスターして動物園へ帰った。
ゴリ友に
「いったい何をしていたんだ」
と聞かれたが答えなかった。
飼育員に俺が脱走したと言いふらされたら困るからだ。
翌日俺は、川へ行き、河童の巻助と会った。
「やあ巻助。今日は君に用があってきたんだ。」
「なんの用だね、俺は頭の皿を洗うのに忙しいんだ。」
「君はよく食料を求めて泳ぎに出るじゃないか。で、どうやったら泳げるようになるか教えてくれないか?」
「なんだそんなことか」
巻助はすんなりと極意を教えてくれた。俺はその日のうちにに泳ぎをマスターして動物園へ帰った。
ゴリ友に
「いったい何をしていたんだ」
と聞かれたが答えなかった。
飼育員に俺が脱走したと言いふらされたら困るからだ。
翌日俺は、草原へ行き、シマウマの馬吉に会った。
「やあ馬吉。今日は君に用があってきたんだ。」
「なんの用だね、俺は草を食べるのに忙しいんだ。」
「君はよくライオンやトラが近くに来たら咄嗟に逃げるじゃないか。で、どうやったらすぐ気付けるかか教えてくれないか?」
「なんだそんなことか」
馬吉はすんなりと極意を教えてくれた。俺はその日のうちに素早い動きをマスターして動物園へ帰った。
ゴリ友に
「いったい何をしていたんだ」
と聞かれたが答えなかった。
飼育員に俺が脱走したと言いふらされたら困るからだ。
さて準備は整った。後は脱出するだけだ。
皆が寝静まった後、俺はビッグジャンプをかまし、柵を飛び越えて見せた。飼育員なんてとうの昔に家へ帰った。もう私を止められる者など誰もいない。