表示設定

文字サイズ
行間
フォント
背景
文字方向

決戦

第5話 / 全6話 · 2,289字 · 約5分
ある日、4人は神社の中にあるちょっとした広場に出ていた。
水輝「いやぁ、平和ですね~」
炎「そうだな。だが、こんなに平和だと、逆に何か起こりそうだよな。嵐の前のなんとやらとも言うし。」
水輝(…なんか炎さんが男になっても一人称が変わるだけでさほど変わらなそうだなぁ)
炎「今失礼なこと思わなかったか?」
水輝「い、いやいや!そ、そそそ、そんなこと、な、ないですよ!?」
炎「定番のうろたえ方したな。」
水輝「そういえば、二人は何して遊んでるんでしょうね~」
そう言って水輝が視線をやったのは、鷹乃と奈狐だ。
すると、
奈狐「ちょうちょだ!」
奈狐の歓喜のような声が聞こえた。その次に聞こえたのは…
水輝「ん?」
何もわからないでいる水輝の声だ。
蝶を見つけたその瞬間、奈狐の目にはその蝶を捕まえることしか頭に無くなってしまった。
つまりは、その蝶に突進したのだ。ものすごい速さで。そしてその先には水輝が居る。
さあ、たいていの読者はこの構図を見て想像できるだろう。
そうだ。奈狐が水輝にとんでもない速さで頭突きをしてしまったのだ。
(バキッ)
骨の折れた音がした。
水輝「ぐはっ!」
奈狐「!?!?!?」
奈狐も何が起こったのかわからないようだ。目を白黒させている。
鷹乃「だ、大丈夫か?水輝…」
水輝「今の見て大丈夫に見えますか…?
あばら6本くらい逝きました…

炎「だいぶ逝ったな…」
炎(というか、本当に静かだな。なにか嫌な予感がする。)
炎がそう思った、本当にその時だった。
???「遊びに来たよー、ほーむらちゃん」
その声が聞こえた瞬間、炎、水輝、鷹乃の表情が固まった。炎の嫌な予感が当たってしまったのだ。
ただ一人、状況が分かっていないとすれば、奈狐だけだった。なぜならば、その声の主は三人が出会う出来事の張本人であり、三人、いや四人の親の敵だからだ。
その四人目は弥生なのだが、生憎奈狐に弥生の頃の記憶は無い。だから、現状が分かっていないのが奈狐ただ一人なのだ。
炎「…誰だ」
???「ひどいなー、もう忘れちゃったの?認知症なんじゃない?ボクは紅葉(くれは)だよ!」
無機質な声を出す人物は、紅葉と名乗った。そして、その人物には、足がない。つまり幽霊だ。
水輝「私たちの親を殺しておいて、よくもまぁのうのうと…!」
水輝の手が震える。その震えは怒りによる物なのか、過去のトラウマによる物なのか、はたまた両方なのかは分からない。だが、恨みを持っているのがよく分かる。それにもかかわらず、精一杯の怒りを、殺意を込めた言葉も、相手にはいとも簡単に跳ね返される。
紅葉「殺した?変な勘違いはやめてほしいなー!ボクは噂を流しただけ。君たちの親を殺したのは人間だ。ボク一人に罪を着せるのは、やめてくれないかな?」
紅葉がその台詞を言ったとき、鷹乃が怒っているのは見て取れた。とてつもない殺意だ。その殺気までも無視して、少女は続ける。
紅葉「まぁいいや。それにしても、ボクには夢があるんだ。ねぇ、世界の仕組みって知ってる?全ての世界の中心の世界があって、その世界の周りを他の世界が回ってる。その中心の世界がここ!つまりこの世界を壊せばすべての世界も壊せるってわけ!」
炎「なぜ壊そうとする?」
紅葉「さあね。自分にも分かんないや。まあ壊すのにはどうしても君たちが邪魔だから、消えてほしいんだ。」
鷹乃「拒否権は無さそうだな。」
炎「行くしかない、か…」
その時だった。奈狐の周りが光って、奈狐の姿が変わっていく。背は高く、髪も同様に長い。さらに、尾は9つに割れている。炎の口から思わずこの名前が出る。
炎「や、よい…?なんで…」
弥生「何故驚いておる?守られてばかりではつまらないからに決まっておろう。」
紅葉「あ、弥生ちゃんだ!」
弥生「お主に名を呼ばれる筋合いなどないわ。」
まるで気持ち悪い虫を見るかのような目で、弥生は言う。
紅葉「まあいいや!面子も揃ったし、そろそろ戦いの火蓋を切ろうかな?」
紅葉が手を前に出した瞬間、弾幕が4人に向かって飛んだ。
紅葉「追憶 オーバーレイ!」
飛ばされた弾幕が重なり合いながら4人に近づく。
水輝「水龍 幽雅なる水彩画!」
淡い色に光った水が弾幕をはじき返した。
炎「今度はこっちの番だ! 炎よ燃え盛り、惡しき者を燃やせ!炎龍 永遠炎華!」
華の形の激しく燃える炎が空いっぱいに広がる。
その時、
弥生「それではまだ弱いぞ、炎。よし、ちょいと手助してやろう。 嵐よ、黒き者を切裂け!晴嵐 鎌鼬!」
鷹乃「じゃあ私も。こいつには恨みがあるからな。
全てを飲み込め!エンドナイトブラックホール!」
神の攻撃には流石の紅葉も太刀打ち出来ない。
紅葉「嘘でしょ…?こんなに強いなんて…
…私、どこから間違ってたんだろう…現世に留まったところからかな?あはは…」
弥生「地獄で悔いるがいい!」
紅葉は身体が消えていく中で考えていた。
紅葉(もしも…もしも罪を償い終わって、生まれ変われたら…今度は…間違えないで…生き…れ…る…か……な………?)
辺りが静まり返った。
こうして、最大の敵は、案外呆気なく倒されたのであった。
紅葉が消えた後、弥生は一人、呟いた。
「姉さん、私、頑張ったよ。多分だけど、鷹乃に生まれ変わったのかな?また会えて、嬉しかった。」
言い終えた時、弥生はまた奈狐に戻った。
« 前の話 目次 次の話 »

この話への感想

まだ感想はありません。