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〈第十話〉装置を開く決意

放課後、家に帰ると、

湊はランドセルを置くより先に自分の部屋へ向かった。

机の上には、いつものように母の装置が置かれている。

けれど今日は、昨日までとは違う”気配”があった。



湊はそっと装置を手に取った。

金属の冷たさが指先に伝わる。

でも、その奥にある”何か”が、

湊の胸をざわつかせた。



(昨日......震えたよね。

 気のせいじゃ、ないよね)



装置をひっくり返し、

裏側のネジをじっと見つめる。

小さなネジがいくつも並んでいて、

そのひとつひとつが、

まるで湊に「開けて」と語りかけているようだった。



「......開けてみよう」



湊は工具箱を取り出し、

一番細いドライバーを手に取った。

手が少し震えている。

でも、それは怖さではなく、

”何かが変わる予感”のせいだった。



ネジにドライバーを当て、

ゆっくりと回す。



キリ、キリ......。



金属がこすれる音が、

部屋の静けさに響いた。



(もし......中に何かあったら......)



湊は息を止めた。

胸の奥が熱くなる。



そして━━



カチリ



小さな音がして、

ネジが外れた。
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