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少しトクベツな宴会(霧雨魔理沙・フランドール・スカーレットのテーマ

第4話 / 全4話 · 1,534字 · 約4分
博麗神社の境内は、溢れんばかりの活気に満ちていた。色とりどりの提灯が夜を照らし、酒の香りと美味そうな匂いが鼻をくすぐる。「今日は宴会だーーー!!!!」魔理沙が景気よく声を上げると、隣で大幣を片付け終えた霊夢がふっと微笑んだ。「さ、魔理沙。準備も終わったし、そろそろ人も集まってくるんじゃないの?」「そうね、霊夢」「お! 妖怪の山の方の人が来たわね」天狗や河童たちが「こんちゃー」「イェーイ!」と大騒ぎしながら鳥居をくぐってくる。それを皮切りに、境内の賑やかさはどんどん増していった。「お、紅魔館組が来たね」魔理沙の視線の先、優雅に歩いてくるレミリアや咲夜の姿があった。しかし、魔理沙の表情がふと曇る。(ほんとだ……。でも、あれ? おかしいぞ。前に行った時は、確かあの吸血鬼のいもうとがいた気がするんだが……)そこに、フランドール・スカーレットの姿はなかった。胸に妙な引っかかりを覚えた魔理沙は、持っていた皿を置くと、霊夢に向き直った。「すまん。少しお土産を持っていって、帰ることにするわ」「そう、魔理沙。にしても珍しいわね、宴会の主役級のあんたが途中で抜けるなんて」「そ、そうだなぁ。急用をちょっと思い出してな」「まぁ、気をつけてね」「じゃぁな!」人混みをすり抜け、魔理沙は愛用の箒に飛び乗った。夜風を切り裂きながら、静まり返る霧の湖へと急ぐ。数分後。「確か、ここら辺かな。お、館がある。ここか」鬱蒼とした森の奥、ひっそりと佇む紅魔館の裏手。地下へと続く重い扉の前に、魔理沙は降り立った。コンコン、と扉を叩き、中へと声を張り上げる。「おーい、いるよなー!! だれかー!!」ギィ、と重い音を立てて扉が薄く開いた。隙間から顔を覗かせたのは、七色の羽を持つ少女、フランだった。フランはきょとんとした目で魔理沙を見つめ、ぽつりと言った。「……何で、人がいるの? みんなは今頃、楽しく宴会をしてるはずなのに」その寂しげな言葉に、魔理沙の確信は変わった。やっぱり、彼女だけ置いていかれたのだ。「(やはりか……)」魔理沙は胸の内で小さくため息をつき、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべた。「ってかさ。そんなことよりさ、お前、今『みんな“は”』って言ったな?」「どういうこと……って……」「そこは『みんな“も”』だろ?」「、え?」驚いて目を見開くフランの手を、魔理沙はガシッと掴んだ。「さぁ、外でもいいから一緒に行こうぜ。お土産もあるしな!」「……ありが……とう。魔女さん」「そんな気遣うなよ。ほら、これでも食いな」魔理沙が懐から取り出したのは、神社からこっそり包んできた美味い御馳走だった。フランはそれを小さな手で受け取り、一口、大切そうに口に運んだ。「……美味しい。みんなって、いつもこんな美味しい思いをしていたんだ……」嬉しそうに、でもどこか切なそうに微笑むフラン。それから二人は、夜の静寂の中で、色々な話をした。他愛のない話、外の世界の話。静かに、しかし確実に温かい時間が流れていった。時計の針が進み、夜も一段と深くなった頃。魔理沙は夜空を見上げた。「さぁ、そろそろ頃合いかな?」「頃合い……?」フランが不思議そうに首を傾げた、その瞬間。シュルシュルシュル……と、博麗神社の方向から、夜空へ向かって一筋の光が駆け上がっていった。――ドンッ!!!!!夜闇に大きな、大きな大輪の花火が咲き誇った。赤、青、黄色、そして七色の光が、暗い森を、そしてフランの瞳を鮮やかに照らし出す。「わあぁ……!」フランは歓声を上げ、夜空を見つめた。それは、宴会のフィナーレを飾る大花火。神社に行けなかったフランのために、魔理沙が最高のタイミングでプレゼントした、二人だけの特別な特等席からの景色だった。
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