番外編3 水輝の過去
私ってもう死ぬんですね。
...流石に今日ぐらいは泣いてもいいですよね?
あ〜あ。最後くらい、普通に暮らしたかったな〜。
ある時、ある場所、ある人が、今日もどこかで死んでいる。そして、ある時、ある場所、ある人が、今日もどこかで生まれている。
そんなこと、物心ついたときから知っていた。
私は、小さい時から全く泣かなかった。なぜなら、我慢しているから。痛いときも、悲しいときも、嬉しいときも悔しいときも、私は泣かなかった。
まあまあ裕福な家庭に生まれた私は、稀に命を狙われることがあった。でも、一切泣かずに、足を引っ掛けて転ばせたらしい。
大きくなっても、笑うだけで泣かない。怒らない。そのせいで変な噂も流れた。馬鹿にされた。でも、泣かないと気づけば、気にしていないと勝手に勘違いしてやめる。
それに気づいていた。それが楽だった。
そんなこんなで時間は過ぎていき、18歳になった。ある夏の日、王国が崩れた。もちろん貴族である私の家も。
でも、これを狙う者がいた。私の家に恨みをもっている人だ。
だいたい予想はついているだろう。18歳で親を殺された。そのあと、彼女に出会った。共感してくれて嬉しかった。
彼女に貴族の末裔であることを告げた。命を狙われていて、多分もうすぐ死ぬことも。
それでも、彼女、不知火 炎は態度を変えなかった。
1週間後、予想していた通り、命を狙われた。死を受け入れた。服と手が血で汚れていくのを見ながら、私は言った。
「私ってもう死ぬんですね。
...流石に今日ぐらいは泣いてもいいですよね?
あ〜あ。最後くらい、普通に暮らしたかったな〜。」