中学の頃はアイツの教え方が上手かったから
第1話 / 全3話 · 772字 · 約2分
「え、うそでしょ」
黒板に書かれた、補修という文字。時間は明後日と明々後日の放課後。誰も放課後まで勉強したいとは思うまい。その下には、赤点、この学校では30点以下の者の名前が書かれる。誰もがそこに書かれたくないがために必死に勉強をする。俺もそうだった。しかし、そこには担任の生真面目な文字で、
亜下羽 作玖
そう書かれていた。
「まってまってまってまって!?」
焦る。中学の頃から、いや、アイツに勉強を教えてもらわなくなってから、成績がガクンと下がった。とはいえ、赤点はマズイ。非常にマズイ。留年はしないと約束したのに。
「なんの教科!?」
大体予想は付いてはいるが、現実逃避に机を漁ったっていいじゃないか。もしかしたらミスかもしれない。そう思って、机の奥から一、二時間ほど前に押し込んだテストの答案を見る。
国語、48点。よかったコレじゃない。
「国語の先生苦手なんだよなー」
そんなことを独りごちて、他の答案が出てこないかと机の中に手を入れる。
社会、32点、数学、52点
「社会はギリセーフ!流石に数学は覚えてるよ。そこそこよかったんだよなー」
やっぱアイツの教え方がうまかったんかな。
理科、87点
「理科も覚えてるよー!いやー、俺、得意教科苦手教科偏りすぎな〜。コレは将来理系ですわー」
とりあえずさっき出した3枚は自分の机の上に置き、机に手を入れ、残り一枚を探す。残りは英語だ。俺が一番嫌いで苦手な教科。だが、ミスかもしれない。五時間目に返された英語が30点より下だったような気もするが、それも気のせいだったかもしれない。
「あっ」
あった。という言葉が最後まで出ることはなかった。
英語、28点
「あー、やべ。…とりあえず現実逃避に帰るか」
補修は明後日。つまり、まだ後二日あるのだから。