婚約破棄
第1話 / 全6話 · 467字 · 約1分
「お前はつまらねえ女だ」
散々言われっぱなし。
私はそんな生活にも慣れてきた。
と、彼はこの国の第一王子、私の婚約者だ。
まあ私はそいつが何も仕事をしないからただ淡々とやりこなしてきただけである。
そこで冒頭に戻ると。
彼の隣には卑しい笑みを浮かべた男爵令嬢 カノン・アリーナが腕に抱きついている。
「それは、私との婚約を破棄する……ということで間違いないでしょうか?」
「ああ、そうだ。お前のようなつまらない女より可愛らしいカノンの方が俺に合っている」
「まあ、そうですか。それならどうぞ御勝手に。私はもうお屋敷に戻りますので……」
私がスカートを少しつまみ、お辞儀をし、そのまま背を向けると、「何だ? 負け惜しみか?」と王子の声。
「ごめんなさぁい、カノンのせいでぇ」
女の甘ったるい声が飛んでくる。
「……何ですか? そちらこそ、負け惜しみですよね?」
私は背を向けたままそう言うと、メイド達を先導して、馬車へ向かった。
あんな男、いなくなって清々したわ。