〈第五話〉藤原先生との出会い
学校に着くと、
理科室の前で藤原先生が器具を修理していた。
白衣の袖をまくり、
細いドライバーを器用に動かしている。
「白石、興味あるのか?」
先生が顔を上げると、
湊は思わず背筋を伸ばした。
「え、えっと......その......」
言葉はつっかえるけれど、
湊の視線は器具から離れなかった。
先生は湊の様子を見て、
少しだけ口元をゆるめた。
「見てみるか?」
湊は小さくうなずいた。
器具の内部には、
細いバネや歯車が複雑に組み合わさっていた。
湊は思わず息をのむ。
「ここが折れてるんだ。
だから動かなくなってしまった」
先生が指さした部分を、
湊はそっと覗き込んだ。
「あ......ほんとだ......」
折れたバネの先端が、
わずかに黒く焦げている。
「よく見えるな。白石は観察が得意だな。」
その言葉は、
湊の胸の奥に静かに染み込んでいった。
(ぼく......得意なのかな)
自分の”好き”が、
誰かに認められたような気がした。