〈最六話〉帰り道の小さな自信
放課後。
湊は再びパン屋の前に立っていた。
看板は今日も揺れている。
でも、昨日とは違って見えた。
「......金具、ゆるんでるんだ」
佐伯さんの言葉を思い出しながら、
湊は看板の裏側を覗き込んだ。
確かに、金具の一部が少し浮ている。
「バネ......かもしれないし......
金具のゆるみ......かもしれない」
昨日よりも、
自分の考えを言葉にできている気がした。
(ぼく......少しだけ、分かったかも)
胸の奥に小さな自信が灯る。
看板が揺れるたび、
その火はゆっくりと大きくなっていくようだった。
湊はランドセルを背負い直し、
家へ向かって歩き出した。
今日の空は、
昨日より少しだけ明るく見えた。