十三話
第15話 / 全15話 · 1,331字 · 約3分
−−莉音視点−−
「うん、最後にぼくからの話かな」
「神様…」
「ぼくはね、みんなにありのままの姿でいてほしい。それでも、自分を守るために隠すこともあると思う。ただ、それで君は君自身を傷つけすぎないで。どうか、自分が楽に過ごせるように生きて。自分の苦しみと他人の苦しみを比べないで。自分だけは、自分に正直でいて、味方でいてあげて。…ここからはぼくの勝手な思いだけど、そうしてくれたら、ぼくはやっと安心できる」
「どこか…行っちゃうの…?」
…嫌だ。もしそうなら…、やだよ…。
「ごめんね、莉音。でも、どこにも行かない。ずっとそばにいる。ただ、しばらく姿が見えなくなるけど…」
やっぱり……。そんな…。
「やだ…。それじゃ、あたし達どうすれば…」
「じゃあ、ぼくは君たちに名前をつけてあげる」
神様は、明るく元気に、そして、とても丁寧にその言葉を紡いだ。
−−??視点−−
「そうしてくれたら、ぼくはやっと安心できる」
驚いて、不安そうにぼくを見る莉音の姿が目に入った。
「どこか…行っちゃうの…?」
…ごめんね。
「ごめんね、莉音。でも、どこにも行かない。ずっとそばにいる。ただ、しばらく姿が見えなくなるけど…」
「やだ…。それじゃ、あたし達どうすれば…」
「じゃあ、ぼくは君たちに名前をつけてあげる」
不思議そうに、不安そうに、寂しそうに、みんながぼくを見つめている。…君たちと出会えてよかった。
ぼくも、寂しさがみんなに伝わらないように振る舞わなきゃ…。でも、寂しさなんてものを感じたのは、これが初めてだけどね。
「それはね、『ありのまま』! よかったら、この名前を大切にしてほしい! そして、これはぼくの名前。どうか、いつもぼくがそばにいて、見守ってることを忘れないで!」
さよならは言わないよ。だって、ずっと一緒なんだから。…ただ、姿が見えなくなって、話せなくなるだけ。…ただ、ただ、そんだけ……。
「わ、わかった…、大切にするよ…!だけど…!!」
大切にしてくれるなら、それで十分だよ。
ありがと、莉音…。
−−莉音視点−−
『大切にしてくれるなら、それで十分だよ』
そう言って、神様は光と共に、あたし達から姿を消した。
神様は…、笑ってた。幸せそうに。頬を涙で濡らしながら。嬉し…かったのかな?それなら、よかった…。
「よか…っ」
大量の雫が頬を濡らした。…今回は、あたしのみたいだね。
「泣かないで…莉音…」
美桜、ごめんね。あたしも、どう止めたらいいのかわからない。だって、やまないの。涙が、目から溢れて流れて出てきちゃうの。
「莉音……」
大丈夫、望愛。もうすっきりした。吹っ切ること、できたよ。だから…お幸せにね…っ。
…神様。
「大丈夫、だよ」
玲音…。
「ありがと…ね」
あの時神様は微笑んでたから…あたしも、笑おう。いつか、どうか、神様のようになれますように。…ううん。神様のようになれるように、頑張ってみよう。それで、誰かを幸せにできたら…嬉しいな。
ねぇ、神様。あたし、あなたのおかげで幸せになれたよ…。