ファンタジー的な?厨二病が作りそうなのでごめんねあまおひめ🍓👾👑
短編連載中
第1話:偽りの平穏と、目覚める影

ファンタジー的な?厨二病が作りそうなのでごめんね

全2話 4,350字 約9分 27 PV いいね 0
天地が引き裂かれ、混沌のなかから四人の神々が降り立ったとき、この地は「エレディア」と名付けられた。
神々は人へ知恵を、獣へ力を、そして大地へ満天の恵みを与えた。しかし、光が強まれば影もまた濃くなる。地底の底から這い出でた「常闇の王」によって、世界は一瞬にして血と炎に染まった。
長きにわたる大戦の果て、初代国王が聖剣をもって王を封印してから、数百年。
人々はかつての恐怖を忘れ、偽りの平和を貪っていた。……その封印の糸が、今まさに千切れようとしていることにも気づかずに。
「――というお話さ。だから、あんまり夜更かししてると、常闇の魔物に魂を吸い取られちまうぞ」
「へえ、そりゃあ怖いね。じゃあ、その魔物が来たら、おっちゃんが自慢の木槌で叩き潰してくれるわけだ」
大陸の北方に位置する辺境の村。その一角にある鍛冶場に、快活な笑い声が響いた。
青年――アベルは、真っ赤に焼けた鉄をふいごの風で煽りながら、常連の老猟師に軽口を叩き返した。
アベルは、この村で育ったしがない見習い鍛冶屋だ。黒い髪に、作業で鍛えられた引き締まった体。特別な力があるわけでも、高貴な血を引いているわけでもない。ただ、幼い頃に拾われた身であるアベルにとって、この退屈で平和な村と、不器用だが温かい育ての親の親方こそが、世界のすべてだった。
神話の英雄譚など、退屈な夜を埋めるおとぎ話に過ぎない。
今日の次には当たり前のように明日が来る。アベルも、この村の誰もがそう信じて疑わなかった。
だが、世界が形を変えるときは、いつも静かに、そして唐突に訪れる。
「……ん?」
ふと、アベルは手を止めた。
鍛冶場の床に置かれた水瓶。その水面が、かすかに震えている。
パチ、パチ、と火花が散る音に混じって、地鳴りのような、低い不気味な音が遠くから響いてきた。
「おいおい、地震か? 珍しいこともあるもんだ」
老猟師が怪訝そうに外を見上げる。
しかし、異変はそれだけではなかった。
鍛冶場の外から、家畜たちの異常な鳴き声が聞こえ始める。馬は狂ったようにいななき、犬は尾を巻いて激しく吠え立てていた。その声は怯えに満ちている。
アベルは何胸騒ぎを覚え、革のエプロンを脱ぎ捨てて外へ飛び出した。
「なんだ、あれ……」
村の中央広場に集まった村人たちが、一様に凍りついたように北の空を仰ぎ見ていた。
エレディア大陸の北の果てには、かつて初代国王が魔王を封印したとされる「終焉の山脈」がある。永久凍土に閉ざされたその山々の向こうから、どす黒い「雲」が、まるで生き物のように這い出し、ものすごい速さで空を侵食していた。
太陽の光が遮られ、世界が急速に闇に包まれていく。
同時に、肌を刺すような、おぞましい冷気が村を吹き抜けた。
「ひ、光が……太陽が消えるぞ!」
「神よ、御加護を……!」
悲鳴と祈りが交錯する中、アベルの視線は村の入り口へと向けられた。
ガサガサと茂みが激しく揺れ、そこから一人の若い衛兵が転がり込んでくる。全身泥まみれで、その顔は恐怖に引き攣っていた。
「みんな、逃げろッ! 出た、出たんだ……!」
衛兵は広場の中央で力尽きたように倒れ込みながら、血を吐くような声で叫んだ。
「神話の……『常闇の軍勢』が、山を越えてくるぞ――!!」
その言葉が終わるか終わらないかの瞬間。
村を囲む防壁の向こうから、聞いたこともないような、地獄の底から響く獣の咆哮が轟いた。
数百年続いた偽りの平和が、音を立てて崩壊していく。
アベルは無意識のうちに、手元にあった一本の古い鉄剣を固く握りしめていた。
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