EP.2 延命
第2話 / 全5話 · 624字 · 約2分
開けられたドア、聞こえる悲鳴、否が応でも振り向くだろう。そうしてその目に映ったそれは、誰がどうみても人間の姿をしていなかった、虫のように多くの足を持ち、トカゲのように鱗が生え、目のくり抜かれた亀のような頭を持つ、異形の化け物が目の先にいる。
コスプレや変装の出せるクオリティーではない、口を開き、白い息を吐き出し、指を細かく振るわせ、口からは荒々しい言葉を吐きかける、そんな化け物を目の前にして、誰が冷静であれるであろうか。
恐怖に固まる少年少女、悲鳴をあげたものから殺され、鉄の匂いが教室中に広がる。
そして、友である刃刀 銘の近くまでその化け物が近づいたところで、神樂は耐え切れなかった。
震える足は動き出し、銘の前まで走り、あろうことかバケモノから身を挺して守るような動きを見せた。
マンガやアニメの世界なら、彼女はここからこの化け物に1発喰らわせて勝利するだろう、だが現実は無慈悲だ、化け物の振り回した腕にぶつかって彼女は黒板に打ち付けられる。崩壊した壁が彼女の体を包み込み、また鉄の匂いを強くする。
鉄の匂いが教室のどこからも匂い、化け物が次の一手で銘を床と一体化させる、その刹那、化け物の腕は焼け、焦げカスとなって壁へと叩きつけられ、崩壊する。
崩壊した壁から出る焦げ臭い匂いが鉄の匂いを打ち消す
蒼い炎に身を包まれ、背丈を伸ばした雄雄しい姿を見せる。
その怪物こそ、まさしく先ほど死んだと思われた神樂その人であった。