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EP.5 組織

第5話 / 全5話 · 1,927字 · 約4分
「ようこそ蒼炎そうえん、このシェダウザーズへ。」
そう話しかけた長身の男性の方に神樂かぐらが振り向くと、そこに立っていた職員しょくいん数名に取り押さえられる。
困惑こんわくする神樂に、また男性の声がする
「悪いね、ちょっとした検査けんさだから我慢がまんしててくれよ。」
そう聞こえたのも束の間、まぶたは重くなり、意識はゆっくりと途切れていった。



椅子に体を固定され、謎の機械を頭に被せられたまま、カウンセリング施設のような場所で目が覚める。
「お目覚めのところ悪いけど、今からちょっとした検査に付き合ってもらうよ。」
目の前の椅子には一人の女性が座っていた
あまりに飄々としたその態度に、困惑を通り越して、もうすでに呆れ返ってしまう。
「何が目的ですか、今日の朝のことを聞き出そうとしているならー」
神樂がそこまで言いかけた時、前に座っている女性が口を開いた「いや、これからするのは、あなたの精神の確認のようなものよ、最近流行りのナントカ診断とか、そういうものに近いから、そう気にしなくて大丈夫。」
その言葉にぽかんとしていると、質問が投げかけられる
「もし友達が目の前で万引きを始めたら?」
「もし川で子供が溺れていたら?」
「もし雨の日に猫が段ボールの中に入れられ捨てられたいたら?」
「もし」「もし」「もし」突拍子もないこの道徳の課題のような質問ばかりを投げかけられ、自分が精神異常者だとでも扱われているような不快な気分を感じる。そんな質問ばかりを受け続け、限界が近づいてきた頃だった。
「一次検査は終了ね、次は今日の朝の姿で答えてもらいましょうか。」
もっとも、忘れていたわけではないが、この質問の連続の中で、そのことを頭の隅に追いやっていた。
「そんなことを言われても...あれは突然なったものなので...」こんな監禁集団に敬語を使うほどに自分でも申し訳なさを感じる。
「自分の影を強く意識してみなさい、そうすればきっとあなたにもできるわ。」
そのちんぷんかんぷんな言葉の通り、感受性を向けてみる、体が燃えるように熱い、でもだんだんと、その熱さが普通のように思えてくる。
完全にその熱さに慣れた頃、女性と自分の間に隔てられた壁の反射で自分の姿が変わっていることがわかる。青い炎のような、その姿に。
驚く暇も与えられず、またさっきの道徳の課題のような質問が投げかけられる、そうして体感何時間か経った頃、女性が神樂に質問以外を話しかける。
「そうね、そろそろ終わり時だわ、元の姿に戻ってみましょうか。」
(また無茶を言う....)
そんなことを感じながら神樂から言葉を投げかける。
「じゃあ戻り方も教えてくださいよ、こっちはさっき初めて自分の意思でこれになったんですよ。」
女性はフフッと笑ったあと、質問に答える。
「そうね、今度は元々の自分をイメージしてみましょうか。」
また言われた通りに頭の中を動かす。
すると壁の反射で見える姿は、みるみる元の姿に変わっていく。そうして、椅子の固定が外れ、ついに立てるようになる....が、自分はここに何時間と座っていたのだ、疲れが溜まっているのだろう、足を動かしても歩ける気がまるでしない。
そうして生まれたての子鹿のように壁を伝いながら部屋にあるEXITと書いてあるドアに寄っていく。
ドアを開ければ、病院の待合室のような場所で、刃刀 銘が待っていたのがわかる。
「銘、結局....なんで私をここに呼んだの...?」まだ壁をつたって歩く神樂から、怒りを感じるような声でそう言われる、銘は神樂に方を貸し、申し訳なさそうにしながら話し出す。
「神樂...朝に来た怪物のこと覚えてる?」
やっぱりそれかと言わんばかりに、呆れたため息を漏らす神樂に銘は続ける
「あれはシェダウズ、神樂がなったのもそう、もっとも、神樂のは理性を保ててるからまだマシだけど。」
そういって一番最初のロビーような場所までつくと、さらに続けて「理性を失ったシェダウズから、市民を守るには、理性をたもったシェダウズが必要、だから神樂をここに呼んだの」
そうして説明が終わった頃、ようやく神樂は一人で歩けるくらいまで足が慣れてきた。
「それで、どうなるの私は」
そうやって質問する神樂に銘は答える
「明日またここにきて、検査の結果がわかる、運が良ければ戦わなくて済むかもしれない...運が悪かったらーー」
そこまで言葉を紡いで、銘は口を閉じる。
その様子に疑問を感じても、若さのせいなのか、それとも自分が納得するためか、大丈夫だろうと考える。これから何が起こるかは、まだわからないのだから。
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